■対中関係めぐり割れる台湾


対中関係めぐり割れる台湾、ついに学生が立法院占拠 与野党駆け引き激化

 対中関係をめぐり台湾の与党、中国国民党と野党との駆け引きが激化している。

 昨年6月に中台で調印した双方のサービス分野の市場開放を目指す「サービス貿易協定」では、台湾の貿易自由化の出遅れを危惧して立法院(国会に相当)での早期批准を求める国民党の馬英九政権に対し、最大野党の民主進歩党などは「密室協定」「台湾の弱小産業に打撃」などと反発。17日には批准に向けた委員会審議で、強硬採決も辞さない構えの与党立法委員(国会議員)が時間切れを理由に審議を打ち切ったことから民間団体にも反発が広がり、18日夜以降、学生らが議場と議事堂周辺を占拠する前代未聞の事態に発展した。

 ■前例ない市民の議場占拠

 「21日まで占拠する」

 一連の行動を「318人民奪回立院(立法院奪回)退回服貿(サービス貿易協定撤回)行動」と名付けた学生らのリーダー、台湾大学大学院(政治研究所)修士3年の男子学生(25)は議場内で息巻いた。

 21日は協定の本会議審議日。112議席(定数113)中65議席を国民党が占めている。

 協定は昨年6月に上海で調印。電子商取引や医療、旅行業など中国が80分野、台湾は64分野を相互に開放する取り決めだ。

 学生らは18日午後9時ごろ、警備の警察官を押しのけて議事堂内に乱入し、100~200人で議場を占拠。警察官らは数回にわたって強制排除を試みたが失敗し、議事堂周囲も含め、500~1000人の学生らが徹夜で居座りを続けた。

 19日朝には、広報担当の政治大学(哲学)3年生の男子学生(21)が、協定の審議に関し、全条項を厳格に審議するとした与野党の取り決めが守られていないとして、協定の撤回を要求。さらに立法院が中国との協定に関する法制度を整えるまで、中台間の上層部の相互訪問や協議は中止すべきだと訴え、警察の立法院からの撤退、馬総統らによる謝罪、江宜樺行政院長(首相)の辞任などを求めた。

 負傷者や逮捕者も出る事態となり、総統府や国民党は「意見表明は理性的かつ穏当に」と議会秩序の早期回復を呼びかけたが、民主進歩党などは学生らの行動を応援。協定について中国と再協議を行うべきだと主張した。

 ■統一地方選が念頭

 「今年11月29日には統一地方選がひかえている。2016年次期総統選も視野に、与野党の攻防や駆け引きは激化する」と、台湾の有力紙幹部は指摘する。

 08年に発足した馬英九政権は、中台間の自由貿易協定に相当する経済協力枠組み協定(ECFA)を締結するなど経済面で対中関係改善を進め、12年の総統選で再選を果たした。

 しかし中台対話は次第に政治領域に接近し、今年2月には双方の所管官庁トップが江蘇省南京市などで会談。この初の当局間直接交流の実現により、中台首脳会談の可能性も取り沙汰されるようになった。

 台湾当局の世論調査では、台湾の人口約2300万人のうち84・6%が中台関係の「現状維持」を望んでおり、台湾社会における「統一」への警戒感は強固だ。

 一方、中国との良好な関係を背景に台湾の国際空間を広げてきた馬総統は、今年の年頭演説で「台湾経済の突破年とする」と宣言。台湾の貿易自由化の取り組みが「手遅れになってしまう」と危機感をにじませ、サービス貿易協定の立法院での批准には野党にも協力を呼びかけていた。それだけに、協定は与野党間の駆け引きの象徴となっていた。

 ■中国への牽制か

 「今回の混乱は与党にとっても利がある」と、別の台湾の有力紙幹部は指摘する。

 学生らの議場占拠は「協定に反対する市民のガス抜きにつながると同時に、中国側に対しては馬政権が台湾市民の大きな抵抗の中で協定批准にこぎつけたという形になる」という解説だ。

 現在、中国の張志軍国務院台湾事務弁公室主任(閣僚級)の訪台が調整中で、「馬政権は協定批准という土産を大きく見せ、同時に中国側を牽制(けんせい)できる」というわけだ。

 騒動の最中の19日、昨年国民党から党籍剥奪処分を受けた王金平立法院長(国会議長)の党籍確認を求めた訴訟で、台北地方法院(地裁)が王氏の訴えを認める判決を言い渡した。

 王氏の処分は、協定批准の遅れなど立法院運営をめぐる王氏の手法に対し、国民党主席の馬総統が不満を募らせたことが原因とされるが、中国を意識した作為の強硬姿勢だった可能性も指摘されている。(吉村剛史)

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